沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

大海原と密室

・ネットで何でもかんでも見られる現代、映画館というものがもつ最大の力は「閉じ込めること」ではなかろうか。

・huluでもニコ動でも何でも、映画とかをネット上で見る環境はどんどん整いつつある。huluのラインナップとか見てもけっこう充実してきてて、普及したら近所のGEOとかマジでやばいんじゃないのコレ、という感じ。これからどんどんコンテンツも増えるだろうし。

・ただ、huluをキャッキャしながら使っている中で気づいたのだが、意外とこう、名作系というか、そういうのを見る気にあまりならない。海外ドラマとかはガンガン見ているのだが。2時間とか、まとまった時間をもち、一定の集中力を有するような、どちらかといえば娯楽より芸術よりの要素をもつ作品。ちょっと古い映画とか。そういうのをあんまり進んで見てはいないな、と。マイリストに登録してそのままにしてる感じ。

・やっぱり「常時ネットに繋がっている」ことって、どうしても注意の方向を分散させるよな。テレビでDVDを見る、とかよりもさらに。それこそ大傑作「ブレイキング・バッド」とか、純粋に面白いというか、こちらの興味をガンガンひいてくれるような作品はその状態でも問題無いんだけど。

・でももちろん、そういう面白さだけが映画(など)をみる喜びではないわけで…。じっくり腰を据えてみなければその良さがわからない、みたいな作品もいっぱいあるわけで。そういうものの面白さや魅力というものを、けっこう多くの人が潜在的に求めているわけで…。

・ただそういう作品を鑑賞するために、常時オンライン(=いつでも何でも見られる)な状態ってあんまり向いていない気がするのだよな、やっぱり。

・そこで映画館ですよ。もう、現代の娯楽感覚からすればバカにしてんのかってくらい超不便な環境。2時間近くじっとしてなきゃいけない。一時停止も巻き戻しも早送りもできない。しゃべると怒られる。隣に誰が座るかさえも選べない。

・でもそのまったく不自由な娯楽環境そのものに、このネット全盛期にこそ輝くものがあると思う。画面の大きさとか音質の良さとか、そういう映画館本来の特質さえも凌駕するような長所。あまりにフリーダムな大海原に疲れた人を「密室に閉じ込める」施設のもつ可能性って確実にある…と思う。

・音楽ファンの間で今ライブがすごく人気、ってのも良く聞く話だが、生の音うんぬんということの他にも、「閉じ込められたい」というのもかなりあるんではなかろうか。

・あ〜長くなってしまった…。いかん。もっと適当じゃないときっと続くまい。万が一これ全部お読みいただいた方がいたら、とてもアリガトウございます…。まどかマギカの話でもないのに…(?)