沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

声のお仕事

大塚明夫の新書『声優魂』をパラパラと読んだ。昨日声優さんについての話をしたばかりなので、というわけではないが。

・「声優なんてやめておけ!」というシンプル・ヘビー・ド直球なメッセージがこめられていた。自分は別に声優を目指していないのに、なぜか耳が痛くなる。きっと、声優だけじゃなく普遍的な、「その道で生きていくことの厳しさ」の話だったからだろう。

・声優という仕事のあんまりな無理ゲーっぷりが描かれていて、なんか昨日の記事とかでいかにも素人な文句をたれてしまったことが申し訳なくなる程である。このブログを声優さんが読む確率は皆無であることがせめてもの救いだ…(?)。

・そうだよな〜…声だけでアピールしなきゃいけないんだもんな。なんらかの特徴を出さなきゃいけないんだものな。「自然に」とか言ってられない、ってのもあるのかもな〜。

・そんなバトルロワイヤルな声優演技合戦に慣れているからこそ、「花とアリス殺人事件」の蒼井優がすごくのびのびと感じられた、というのもあるのかも。

・ばかみたいな感想であるが、まどかマギカとかジョジョとかに出てる声優さんってスゲーんだな、やっぱり…。歴戦の戦士なんだな、彼女ら彼らは…。

・そしてその影には、夢を見て声優を志望して、専門学校とか行っても、現実はあまりに厳しくて、結局挫折しちゃった、みたいな若者がたくさんいるそうだ。これ以上増やさないため、ということもあるのだろうが、大塚さんはそんな人々に対してすごく厳しい論調だった(ぜんぶ読んでないけど)。そういう哀れな「屍(しかばね)」を山と見てきた、だから声優なんてやめておけ、と。厳しくも優しい人なんだろう、大塚さん。

・でもどうしても「屍」たちに想いを馳せてしまうな…。せめて彼ら彼女らが、「声」という自分の特質を、たとえプロの声優という形ではなくても、どうにか活かしていく道を見つけられるといいんだけど。

・あのディズニーでさえ声はいまだに100%人間ですよ…。やっぱり声って、ほとんど魔術みたいに特殊な力なんだと思う。

・いま「グランド・ブダペスト・ホテル」のDVDを吹き替えで見ているのだが、これ、完全にDVD用に録ったものだよな…。公開時に吹き替え版なんてなかったもんな。字幕よりも画面に集中できるし、皆さんの演技もキャラに合ってて良い感じで、立派なDVD特典だわ。しかし洋画の吹き替えは、声優さんの仕事としては最も割に合わない仕事だと「声優魂」に書いてあった…ギャラ超安いんだって…。その中でも良い仕事をする皆さん、まじリスペクトっす、本当。