沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

「神たそ」みた

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・というわけで『神々のたそがれ』を観た。「神たそ」という呼称、流行りますように。無理か。

・渋谷ユーロスペース映画の日で1000円だったからか、すごい混んでいた。もわっとしていて暑かった…。まあ、この映画を見るには適した環境かもしれない。

・あ、昨日のはエイプリルフールのネタでした(よせばいいのにわざわざ言うことで虚しさをつのらせ、ワビサビ感覚を呼び起こす巧妙な一文)。

・原題は「HARD TO BE A GOD」なので、「かみさまはたいへん!」というか、「神様はつらいよ」みたいな意味ですね。

・もとはロシア(ソ連)のSF小説。未開の惑星があって、人間にそっくりな生き物がいっぱい住んでいる。そこに地球から研究者たちが送り込まれた。彼らは「神」のような存在として君臨するが…というお話。

・とはいえストーリーなんてあんまり気にする余裕もない。3時間ものあいだ、わけわからん人たちが奇声を発しながら、なんの脈絡もない気の狂った行動をくりかえす。その狂乱を脳が処理するので精一杯。そんな映画。

・「それって面白いのか?」と聞かれると、「面白いのかどうかもわからんし、意味もわからなかったが、とにかくとんでもない3時間だった」と答えるしかないそんな映画。

・実は調べてみると、スターリン時代のソ連の社会状況がダイレクトに反映されていたりして、決して「わけわからん」映画ではないのだが。「神」の絶対権力に対して疑いを持つ「知識人」たちが大虐殺されたりと、わかりやすいテーマ性もある。

・でも、そういうバックグラウンド的な知識がなくても、「なんだこの世界は…」と観客を暴力的に圧倒する映像の洪水。これぞアレクセイ・ゲルマン時空であろう(よく知らないけど)。CGなし、全部実写だからこそ客席に伝わってくる、群衆と泥と汚物のむせかえるような匂い。これぞ映画を見る喜び、のひとつだと思う、たしかに。

・CGでなんでもできる時代に、あえてアナログな「物」の感触を打ち出しまくり、ゴリっとした異物感によって観客を己の世界に引きずり込む。この手法って、「劇団イヌカレー」とも通じるところがあるな、とふと思った。これ見てそう。

アレクセイ・ゲルマン、この作品を撮ってすぐ死んでしまったようだ。きっと映画マニア的には知ってて当然な監督なんだろうが、まったくノーチェックだった。というか存在すら知らんかった。勉強不足ですな。

糸井重里がめっちゃほめてた「道中の点検」とかすごい気になる。地味なタイトルだが、サスペンスのようだ。売店で売ってたけど4千円したので買うのはやめた(チキン)。ツタヤにあるかな〜。

・あとパンフレットに、やくしまるえつこのコメントが載っててちょっと面白かった。「神様、アレクセイ・ゲルマンが作ったこの装置は、とっても危険です」だって。いいな。「かみさまはたいへん!」って題にして、主題歌を「ノルニル」にしてアニメ化したらヒットするかもしれない。「絶対的支配だって〜 ほ〜うか〜〜い」(ネタバレ)。

・こんなとこかな。じわじわと映画ブログになりつつあるが、この方向性が正しいかはわからない…。まあ、行ける所まで行こう。自由をめざそう。「グランド・ブダペスト・ホテル」の漫画とか描こう。