沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

ばななとサクラと夜の船

 

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  • 映画「白河夜船」をみた。テアトル新宿、1000円。とてもよかった。
  • よしもとばなな原作、安藤サクラ主演。どちらも大好きなので、見ざるを得ない。写真の飲み物はバナナ+桜のカルピス。可愛いアイディアだし美味しそうだったが、すでに新宿ベルクでコーヒーを飲んだりして散財していたので、がまんした。いま考えると別に飲んでもよかったかな、千円で見たし。まぁいいや。
  • ここですかさず、よしもとばなな×安藤サクラの百合妄想などができれば私も立派なユリシーズなのだが…。さすがに濃すぎて、私の手には負えない。まあ、本作も広義の百合映画でしたが。谷村美月かわええ。
  • たわごとはともかく、本作は、よしもとばなな作品の実写化としては、かなりうまくいっていたのではないか。ばなな作品はほぼ全て読んでいるのだが、その上でそう思う。
  • あまり知られてない気がするが、よしもとばなな作品の多くは、人が死にまくるハードボイルドである。作者名から想像されるゆるふわスイーツでは全くない。
  • なんたってばななさん、最も好きな、影響をうけた映画がジョージ・ロメロとダリオ・アルジェントの『ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)』である(たしか)。
  • 荒木飛呂彦も『ゾンビ』は生涯ベスト3とか言ってた。個人的にはジョジョ好きとばなな好きの間には潜在的な共通項があると思うのだが、脱線するので今はふれない。
  • さて、ばなな作品、「死にまくる」は誇張かもしれないが、まあ誰かしら人が死ぬ。虚淵脚本並みに死ぬ(?)。で、愛する者を失った人間が主役であることが多い。そして淡々とした物語を通じて、何かを取り戻していく。これが基本的な構造である…ことが多い。今回の「白河夜船」は、まさにそれ。
  • ばなな作品を映像化するにあたって、まず「情に流れない」という点は絶対に守ってほしいが、本作はちゃんとそこをクリアしていた。深い悲しみが描かれるが、決してべたっとしない。誰も泣きじゃくらない、叫ばない、でも悲しい。その悲しみが生み出す、不思議と心地いい「ばなな時空」の手触りを、しっかり出せていただけでお見事だ。撮影と演出の力であり、安藤サクラパワーでもある。
  • それにしても安藤サクラが止まらない。「百円の恋」「0.5ミリ」そして「白河夜船」。もはや邦画をみてる最中に「面白いな」と感じてふと主演女優に目をやると安藤サクラ、ということばかりだ。(そんな状況はないだろ)
  • 今回も惜しげもなく裸体(妙に生々しい。PG12なのに)をさらし、丸のまま観客にぶつかってきてくれる。冒頭、ドテーっとうつぶせに寝てるシーンで、顔も見えないのにもう「持ってかれる」。化物である。
  • 長くなったのでいったんこのへんで。イラストも描こっと。ひたすらばななとサクラを堪能した90分だった。