沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

映画『ひつじのショーン』観た!

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  • 映画『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』(原題:Shoun the Sheep The Movie)を観ました。ヒューマントラストシネマ渋谷、1000円。実はTCG会員カードを無くしちゃって泣く泣く再購入したのですが、キャンペーン期間中だったため『ひつじのショーン』版のカード(写真)になったのがうれしかったです。もう二度と無くさないぜ。ていうか無くすなよ…一度として…。
  • さて本作、もう結論から言っちゃいますが、素晴らしい作品でした。さすがとしか言いようがない。85分と短めながら、キレッキレのギャグと秀逸なサスペンスがこれでもかとばかりに詰め込まれた、スラップスティック・コメディの新しい傑作だと思います。子ども向けアニメの皮(羊毛?)を被ってはいますが、知的でユーモラスでクールでシニカルで優しい、本当に素敵な映画です。超オススメ。おわり。
  • …おわるのも何なのでざっと説明すると、有名な『ウォレスとグルミット』に登場する羊を主人公にした『ひつじのショーン』というスピンオフ短編アニメがありまして、本作はその(まさかの)長編映画化なのです。牧場で退屈な暮らしを送る羊のショーンたちが、ある日トラブルを引き起こしてしまい、みんなで街に行くことになり…というお話。
  • あらすじとか予告編を見る限りでは、一般的な大人が興味をもつような要素はあんまりないかもしれません。でも、少し海外のアニメ映画に詳しい方ならば、きっと「これは見逃せないな」とチェックしているのではないでしょうか。
  • というのも、本作を手がけるイギリスのスタジオ「アードマン」、高品質の短編クレイアニメをたくさん作っていることで有名ですが、長編映画も何度か撮っているんですね。その中でも絶対に外せない一作が、『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)です。詳しくは書きませんが、とにかくめちゃくちゃ面白くて可愛い大傑作なので、未見の方はぜひ見て驚いてほしいです。(動きや脚本のクオリティもさることながら、画家のミヒャエル・ゾーヴァが手がけた、ノホホンとしてるのにどこか異常で不気味な美術も最高。)
  • というわけで、同じ作り手による今回の映画『ひつじのショーン』にも期待が高まらざるをえないわけですが、いやはや…期待以上でしたね〜。言っちゃえば「街に行って帰ってくる」というだけの単純な物語の中に、どれほどのアイディアが詰め込まれていたことか。ひとつひとつのギャグや小ネタもいちいち鋭くて笑えるうえに、逃走や脱獄といったサスペンス的な山場もたっぷりで、最後までまったく退屈しません。ただただ面白い。
  • そして本作の最大の挑戦は、ほぼ「台詞がない」こと。声や文字といった言葉による表現はギリギリまで削ぎ落とされています。にもかかわらず、わかりづらさや飲み込みにくさはゼロ。ものすごく脚本を練りこんだ成果でしょう。
  • まずいきなり冒頭、牧場での「退屈な日常」をリズミカルに表現するシーンからして凄い。朝起きて目覚ましを止めたり歯を磨いたり洗顔したりカレンダーを破いたり、牧場主(や鶏や犬や羊たち)のつまんなそうな日常的なルーティンが繰り返されるわけですが、反復的なカットのつなぎ方がとにかく上手くて引き込まれます。「いかに退屈か」を表現しているにもかかわらず、実に楽しく、気持ち良く、音楽的なグルーヴ感すら感じる場面に仕上がっていました。ここだけずっと見ていたいくらい。さらにその一つ一つの動作が、のちの展開の伏線にもなっているという…。もちろん、言葉は一切なしで。…ちょっと震えがくるレベルのうまさです。もはやこの冒頭だけでも金を払う価値があると思う。「単純ですよ〜」「娯楽ですよ〜」という顔をしてはいますが、極めて知的な映画です。
  • …あれ…?そんな本作によく似た大傑作が最近公開されましたよね…。そう、『マッドマックス 怒りのデスロード』です。冗談抜きで『ひつじのショーン』、『マッドマックス』の精神性にすごく近い映画なのではないでしょうか…。いや、今の私が「マッドマックス脳」だからそう言うのではないですよ。だってそうでしょう。「行って帰ってくる」だけのシンプルな物語を、「ほとんど言葉なし」で、「絵と動き(アクション)」によってダイナミックかつテクニカルに語る映画でしょ、どっちも。だからまあ今回の『ひつじのショーン』は、いわば『マッドマックス5』だと断言してしまって良いと思うんですよね。うん。ちょっと今日はもう眠いんです。すみません。
  • とにかく映画『ひつじのショーン』、どんな人が観ても楽しめる良作なのは間違いないです。「子供向けにしては」とかではなく、かなりハードルを上げていっても大丈夫でしょう。相当な満足感を味わえるはず。あの、こういう言い方は良くないとわかってるのですが、『アベンジャーズ2』より確実にこっちの方が面白いと思う…。笑えるし、泣けるし、ハラハラできるし…。どうせ『アベ2』は数ヶ月くらい劇場でやってるんでしょうし、いつ終わるかわかんない『ショーン』の方を先に観ては?とか言ってみたりして。ご参考までに。ああ、絵とか描きたいな。キャラだけでなく、美術とかデザインも超可愛いんですよ…。描いたときにでもまた。