沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

『ヒックとドラゴン2』を語るナイト

  • 今日は、『ヒックとドラゴン2』(How to Train Your Dragon 2)についてアレコレ書こうと思います。おとといの記事(メモリーオブ『ヒックとドラゴン』 - 沼の見える街)では書ききれなかったので。
  • さて『2』ですが、総じて非常に面白かったです。ただ、「面白さ」の質が「1」とはかなり異なっているとは思いました(そこがまた面白いわけですが)。大胆に物語の舵を切ってきたうえ、相当にショックな展開もあるため、戸惑う「1」のファンがいるのもわかりますね。もちろん、あえてそういう作りにしているんだと思います。いわば『ヒックとドラゴン 叛逆の物語』ってとこですかね。違うか…。でも志は近い気もしますね。愛よ。
  • ヒックとドラゴン2』は、『1』のラストから(たぶん)5年くらいたったところから始まります。もとは敵同士だったけど、すっかり和解して仲良く暮らす人間とドラゴンたちの生活描写からスタート。ドラゴンに乗ってレースしたり、楽しそうです。玉入れの玉がわりにされてる羊たちはちょっとかわいそうだけど…。そんな扱いしてると『映画ひつじのショーン』みたいに皆どっか行っちゃうよ。メエエっつって。
  • 一方、主人公・ヒックと最強のドラゴン・トゥースのおなじみコンビは、レースをさぼって島の外をビュンビュン自由に飛び回りながら地図を作ったりしています。こいつらの仲良しぶりというかイチャイチャぶりときたら、もう大爆発って感じでしたね…。ちゅっちゅしてましたし。結婚しちゃえよ…。とはいえ、そのバカップル描写があるからこそ、終盤の「ある展開」に一種のNTR的な趣きが感じられる…じゃなかった、より深い絶望を感じられるようになるわけですが。
  • その「展開」というのが、先述した「ショックな展開」につながっていきます。ややネタバレですが、ある重要な登場人物が終盤で命を落としてしまうんですね。伏線というかフラグは十分に張られているので、唐突な感じはしないんですが、かなり「重い」展開というか、旧ファンほど「そ、そんな…!?」と感じることは確かだと思われます。
  • 先日も書きましたが、本シリーズのテーマは(原題にも表れているように)「自分とは絶対的に異なる他者と、どうやって共生していくか」ということなんだと思います。様々な人種や宗教の対立を抱えるアメリカ本国でも、その点はとりわけ切実な問題なのでしょう。もちろん日本だってちっとも他人事ではありません。それこそ人種差別だってガンガン横行してますし(そのわりにはオリンピックとか開くそうですけど)。…なんにせよこの「共生」という問題は、言うまでもなく現代世界のあらゆる場所で超ホットなテーマになっているわけですよね。
  • だからこそ本作の作り手は、その「共生」というテーマを、どうしても単なる綺麗事として扱いたくなかったのでしょう。子供向けアニメ映画だからこそ、「共に生きる」ことによって何が起こりうるか、その光と闇の両面をできる限り正確に提示しようとした。見上げた根性というべきか、真に誠実な態度だと思います。『1』のラストでも、「他者と共に生きることの厳しさ」、そのために払わなければならない「犠牲」というものがきっちりと描かれました。そしてその「犠牲」について、続編である『2』ではさらに容赦なく語られていきます。
  • つまり、「他者(ドラゴン)と共に生きる」という正しい道を選んだがゆえに、ヒックはまさにその「他者」の手によって、大切な存在を失ってしまうわけですね。『1』のラストよりもっと重い、取り返しのつかない悲劇がヒックを待っています。しかし、もしそうだとしても、それでも人は「共生」を選ぶべきなんだ、というところまで本作は描こうとしている。そこが「2」の素晴らしい点であり、大傑作の「1」をある意味では越えたとさえ思いますね。
  • そして『2』のラストで、ヒックの立ち位置は大きく変わります。本シリーズが3部作だということはすでに発表されているので、次の『ヒックとドラゴン3』では、『2』でそうした立場になったヒックがさらに全体的で大きな決断をせまられる、みたいな話になるんじゃないでしょうか。いや〜…完結編、楽しみですね。
  • …と言いたいところですが、正直『3』の日本での劇場公開は厳しいかな…。あああ…。どんなに小規模でも『2』を上映さえしていてくれれば、『3』の公開につながった気がするんだけどな。本当に残念です。なんとか折り合いがつかなかったものか…。
  • やっぱり、映画館でやるかやらないかって、一般に思われている以上に、その作品の評価への大きな違いになっちゃうと思うんですよね。DVDスルーだとどうしても「映画」として皆の記憶の中に残りにくいというか、本作のようにスケールの大きい傑作でさえ「知る人ぞ知る小粒な良作」みたいな扱いになっちゃいそうというか…。ちがうのにな〜。
  • とはいえ一般公開こそ叶わなかったものの、ファンの人たちの努力の甲斐もあって、(限定的にとはいえ)一応スクリーンでも上映されたわけですし、まだ本作は恵まれていると言えるのかもしれません。「悲劇のスルー作品」として話題にもなったし、声をあげたことは決して無駄ではなかったと思いますよ、ホント。
  • 今日は眠いのでこの辺で。なんか妙に真面目ぶったトーンになってしまったせいで、「重苦しい作品なのかな?」と思われるかもしれませんが、とんでもないです!重いシーンもありますが、基本的には前作同様、アクション、ギャグ、スリル、感動が盛りだくさんの爽快娯楽大作ですから。レンタルも始まったし、「1」と一緒に気軽なノリでご覧になってみてはいかがでしょう。むしろAmazonとかで買っちゃっても絶対損はしないと思いますよ。セール中だし。買っちゃいなYO(誰?)。ではまた。