沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』感想

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  • リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』観ました。TOHOシネマズ新宿、1200円(特別料金)。
  • 2013年に文化庁のアニメーター育成企画「アニメミライ」で公開された、短編アニメ『リトルウィッチアカデミア』の「2」ですね。製作は『キルラキル』『ニンジャスレイヤー』のTRIGGERで、監督は吉成曜さん。
  • 2013年の「アニメミライ」は私も劇場で観たんですが、実際『リトルウィッチアカデミア』は公開作品の中でも際立ってクオリティが高い、華やかな作品でした。その後もネットで公開されたりして話題を呼んで、海外のアニメファンも大絶賛。続編を製作するためにクラウドファンディングで資金を集めたら、なんと6000万円以上も集まったため、製作に着手して無事完成、今にいたるというわけです。長さも1時間と、前作の倍以上になっています。
  • そんなわけで私もTRIGGERファンとして見ないわけにはいかず、2週間限定公開ということもあり、いそいそと劇場に駆けつけました。少し驚いたのが今回、「2」の前に『リトルウィッチアカデミア』の「1」が上映されるんですね。事前のアナウンスはなかった気がするので「あ、そこからやるんだ」とびっくり。というか、てっきり「1」の冒頭をあえてなぞってる演出なのかと思った。
  • とはいえ私は「1」を見るのもけっこう久しぶりだったので、同時上映はありがたかったです。それに「1」をあらためてスクリーンで見て、やっぱりすごく良くできた作品だなと再確認しました。25分と短い時間に、動きのアイディアがぎゅっと詰まっていて、とにかくシンプルでまっすぐな「アニメーションの快楽」というものを存分に味わえる贅沢な作りになっている。大スクリーンで観るに価する、素晴らしい短編だと思います。
  • その「1」が終わった後に「2」、つまり今回の『リトルウィッチアカデミア 時計仕掛けのパレード』が始まりました。魔法の化学実験(←?)をしている主人公アッコたちの楽しいやりとりをテンポ良く見せてくれます。にぎやかなアッコたちの姿に、ついに続編が完成したのだな〜、と感慨もひとしお。
  • とはいえ続編になったところでアッコはアッコ。案の定実験は大失敗してしまい、友達のロッテとスーシィと一緒に先生に呼び出されます。そして罰として街のお祭りで毎年開かれる、「魔女狩り」を擬した屈辱的なパレードの係を押し付けられてしまうのでした。さらにアッコたちとは別の問題児3人衆もメンバーに加えられ、さて一体どうなることやら…!?というお話です。
  • まずざっくり良かったところをあげていくと、アニメーション面は「さすがトリガー」としか言いようのないクオリティの高さ! ダイナミックで派手なモーションから、キュートでコミカルな演技まで、動きのバリエーションの豊富さ、緩急のつけ方のうまさに惚れ惚れします。久しぶりに『キルラキル』方面のグルッグル動くトリガーのアニメが観られました…。続編で『ニンジャスレイヤー』方面に路線変更しなくて本当によかった(好きだけど)…!
  • キャラクターもみんな魅力的で生き生きしていて、見ているだけで元気が出る。個人的に大好きなのは、毒使いのスーシィちゃんですね。ある意味いちばん魔女っぽい陰湿なキャラなんだけど、トリガーのスタイリッシュな萌え造形と上手い具合に噛み合って、とても魅力的な人物になっていると思う。前作でも圧倒的にキャラが立っていたけど、今回は彼女の「魔女っぽさ」が一種の「包容力」として描かれており、キャラクターとしていっそう深まった感がある。(文字通り)毒のあるギャグも秀逸。「どうやってパレードをハッピーなものにするか」という問いへのアンサーが、「客をやばいキノコでハッピーにする」だったのは笑った。それ魔法…?
  • 新しく登場した3人の問題児も、みなそれぞれに魅力的でかわいい。『キルラキル』の流子を思わせる跳ねっ返り娘のアマンダ、メカいじりが特技の無口なコンスタンツェ、お菓子大好きなヤスミンカ。今回はどの子も顔見せという感じで、そんなに大きな活躍の場はなかったけど、もし次回以降があるなら本作のロッテみたいに改めて掘り下げられるかもしれないですね。
  • 物語展開もテンポが良く、たった1時間の枠の中に笑いや涙やサスペンスが上手く織り込まれていて、最後まで退屈せずに見ることができました。特に良かった点は、前回では描かれなかった「学校の外の世界」がちゃんと描かれたことでしょうか。街の人との交流(バトル?)も描かれたりして世界が広がり、しっかり「続編」という雰囲気になっていた。
  • クライマックスの盛り上げ方も上手い。3人の合わせ技で、魔法の杖が弓矢みたいにガションガションと変形していく場面とか、「待ってました」という感じでしたね…!もはや作画力という名の暴力であり、そりゃ〜最高にアガらざるをえないですよ。ラストもすっきりと終わり、後味が良かったです。
  • そんなわけで全体的に楽しめましたし、短編アニメのパワーアップ版としては文句無しの出来栄えだと感じました。ただ、すごく贅沢だとは知りつつ、1本の映画として見終えたとき、物語の面にやや物足りなさを感じたのも事実なんですよね。何かひとつ、芯となるテーマやメッセージ性がほしかったような気がします。
  • せっかく「魔女狩り」(一般社会と魔女世界の対立)という非常に重要かつ興味深い主題に触れていたにもかかわらず、最終的にアッコ・ロッテ・スーシィの友情話という、内輪の人間関係の話に矮小化されてしまっていたことが、少しもったいなく感じたというか。
  • 前作『リトルウィッチアカデミア』では、「アニメ」というものに対する自己批評的な視点があって、それが一種の普遍性を生んでいたわけですよね。「人の憧れを無責任に煽る」という「アニメ(エンタメ)」の負の要素が、シャイニィシャリオというキャラクターを通じて冒頭で具現化される。そんなものに憧れる奴は無知な馬鹿だけだ、という周囲の評価もきっちり描かれる。そのうえで、「それでもアニメ(シャリオ)が教えてくれたことは大事なことだろうが!」っていうところまで、メタ的に踏み込んで描いていた。そこが『リトルウィッチアカデミア』の感動的な点だと個人的には思ってます。(あくまでひとつの見方ですけど。)
  • で、ひょっとしたら見落としているだけかもしれませんが、今回の「2」にはそうした批評的な面白さが欠けているように思えて、そこにちょっと物足りなさを感じました。「魔女狩り」(一般社会vs魔女)という題材は、そういう裏テーマを描くにはうってつけだった気がするんですけどね。
  • ふと思ったんだけど、今回のゲストキャラ、メカいじり担当のコンスタンツェさんだけに絞ってもよかったんじゃなかろうか。いや、決してコンスちゃんのキャラデザが可愛いから(だけ)ではなくてですね…。というのも、街の子たちが口にしていた「現代の科学技術vs魔法」みたいな対立軸を、実はこの子は一身に担ってるんですよ。劇中ではあっさり流されてたけど、魔法を使えるにもかかわらずメカ(科学技術)にこだわってるっていうのが異端的でとても面白いですし。
  • 副題の「魔法仕掛けのパレード」ってのも何となく「機械」を前提にしている感じだし、アッコたちの「魔法」とコンスちゃんの「科学技術」を対立させる形で話を進めるとかもアリだった気がするんですよね。そんで最終的にはお互いを認め合い、力を合わせることで、パレードが素晴らしいものになり、人々の魔女に対する憎しみや偏見が薄れていくとか…。うーん。なんかこう、もっと深く面白くなるよなこの話…!という感じは全体的にあった。
  • まあ今更こんなタワゴトを抜かしても本当に仕方ないですね。ザ・無い物ねだり。何が批評性だオラー!!ゴタク抜かしてっと毒キノコ投げっぞコラー!!…って感じですね。コンスちゃんの活躍とかテーマ的な発展とかその辺全部ひっくるめて、次回作をわくわくしながら待ちたいと思います。
  • 長すぎるのと眠いので終わろう。なんかすごいダラダラ書いちゃいましたが、とにかくエンタメとして大変に質が高いのは間違いないですし、言うまでもなくアニメ好きの人は見たほうがいいです。もう劇場公開は終わりつつある感じですが、実はNetflixでもう観られる!観よう!…ではまた。めっちゃ疲れた。