読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』観た!

映画
  • ドンピシャ大好きなホラー映画『イット・フォローズ』の感想をさっさと書いちゃいたいんですが、同時に1p漫画も描いていて、「漫画が完成したら感想と一緒にアップしようかな〜」「でも漫画がうまくいかないしな…」などとモタモタしている間に金曜日になってしまいました。観たの月曜日なんですけどね…。
  • 『恋人たち』もそうだったんですが、こういう「ひょっとしたら年間ベスト級」みたいな作品は本当に感想を書くのが難しい。もったいつけている間にどんどん時間が経ってしまう。明日くらいにはアップしちゃおう…できれば…。
  • 今週はツタヤでDVDをまとめ借りしたので1本ずつ見ているんですが、今日は『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』という映画を観ました。タマフルのラジオで(たしか)三宅隆太監督がベスト10にあげていた作品なんですが、とても面白かったです。
  • タイトルはB級ホラー感にあふれているし、パッケージの絵も安っぽくて、ぶっちゃけつまらなそうなんですが、実は「メタホラー」としての構造を持つ秀逸なコメディなのです。『スクリーム』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『キャビン』に近いノリの作品ですね。
  • 主人公は10代の女の子マックスで、あまり人気のない映画女優の娘さんなんですが、ある日突然の事故で母を失ってしまいます。母の死から3年後、とある映画イベントが近所で開かれる。そこで上映されるのが『血まみれキャンプ』とかいうタイトルの『13日の金曜日』っぽい80年代のB級ホラー映画で、そこにマックスが招待を受けるんですね。
  • なぜかというと、マックスの(今は亡き)母親が、すぐに殺されちゃう女の子の役で出演しているから。脇役とはいえ「登場人物」の娘には間違いないので、カルト映画を愛する(ちょっと無神経な)オタクにとって、マックスの存在は嬉しいサプライズなわけです。いやいやながら映画館に向かうマックスとその友達一行ですが、上映中の事故をきっかけに、なんと映画の世界に迷い込んでしまいます。
  • 驚きを隠せないまま映画の筋書きに巻き込まれていくマックスたちは、若き日のマックスの母親(が演じている役)とバッタリ遭遇します。相手はあくまで物語上の「登場人物」であって母親本人ではないとはいえ、二度と会えないと思っていた母親の面影を見ることができ、涙を流すマックス…。
  • じきに彼女の心に、ある感情が芽生えます。それは、殺人鬼に立ち向かって映画のシナリオを変え、脇役だった母親のキャラを生き残らせようという決意でした。つまり「お母さんをファイナル・ガール(※ホラー映画で最後に生き残る女の子)にしよう!」と奮闘するわけです。
  • そこからマックスたちvs殺人鬼の戦いが幕をあけるのですが、ホラー映画の「お約束」を利用したアイディアの数々がとても面白い。「セックスをした奴から先に死ぬ」というルールを逆手にとって「服を脱いで殺人鬼をおびき寄せよう」としたり、「スラッシャームービーあるある」を的確に抑えてくる展開が秀逸でした。
  • 「よく殺人鬼が登場する直前にかかる恐ろしげな効果音」を、そのまんま殺人鬼が出てくる合図として活用する、という身も蓋もない対処法とか最高でしたね。〈ヒョンヒョンヒョン…!〉→「あっ来るぞ!」みたいな。その音、普通に聞こえるのかよ!! …全編にわたってそういう小ネタが詰め込まれていて、ホラー好きにはたまりません。
  • 他にも「うわっ世界が急に白黒になったぞ!?そうか、これは…回想シーン(フラッシュバック)だ!」とか、映画そのものの「技法」を踏まえたギャグも多くて、登場人物がそれらをダイレクトに活用して問題を解決しようとする姿はもはや哲学的というか、頭がクラクラしてきます。「テロップ」とか「スローモーション」のくだりも最高でしたね…。
  • そんな感じで、たいへん知的かつ批評的な脱構築ホラーコメディと言っていいと思うのですが、素晴らしいのはホラーというジャンルをバカにして終わるのではなく、終盤にちゃんとB級ホラーであるがゆえの「燃える&泣ける」シーンを用意しているところ。ラスト付近のマックスと母の会話にはついウルっときてしまいましたし、その後の熱い展開もテンションあがりました。
  • まぁ唯一不満点をあげるなら、基本コメディなので仕方ないんですが、いわゆるホラー描写が「ヌルい」ということですかね。メタ「ゾンビもの」コメディとして秀逸な上に、グロ描写も容赦なしだった『ショーン・オブ・ザ・デッド』などと比べてしまうとややエッジィさに欠け、食い足りなさが残るのも確かです。
  • とはいえ、グロ成分が非常に控えめで悪趣味なシーンもほとんどないので、「血は苦手」という方にも気軽にオススメできます。笑って泣けるエンタメであり、批評性に満ちた知的な意欲作であり、何よりホラー映画愛にあふれた素晴らしい作品なのは確かですので、ぜひレンタル屋さんで探してみてください。今日はこの辺で…。