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沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

『KING OF PRISM by PrettyRhythm(キンプリ)』感想

映画 アニメ
  • 映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、通称『キンプリ』を観てきました。新宿バルト9、1600円(特別料金)。一応最初に言っておきますが、最高に楽しい映画でしたし、まさに映画館ならではの素晴らしい鑑賞体験をさせてもらいました。…なので昨晩の衝撃が冷めぬうちに、何とか感想を言語化しておきたいと思います。
  • …と言ってもどこから手をつけていいのか全くわからないんですけどね…。全然知らない人に向けて非常にざっくり説明すると「気の狂ったアイドルアニメ」なんですが、そんなこと言われてもよくわかんないでしょうし…。もう何も知らずに見に行っちゃうのが一番いい気もするんですが…。そして狂気に呑まれる。
  • まず冒頭の3人組グループの「プリズムショー」シーンから完全に「もってかれ」ます。プリズムショーというのは、美少年たちが歌って踊るライブというか、スケート風のダンスパフォーマンスなんですけど、それぞれの子がド派手なエフェクトの「必殺技」を持っているんですね(この時点でもうおかしいんですが)。
  • その必殺技を発動すると、ライブを見ている男の子の服が脱げて全裸になったり、にこやかな大量の全裸の美少年が放射線状に発射されたり、イケメン(×3)と顔の見えない女の子(×3)が二人乗りで河原の道を自転車で爆走したり、そういった不思議な現象が起こるのです。…こうして書き出すと私の頭がおかしくなったかのようですが、違います。おかしいのはこの映画のほうです。本当です。
  • それはともかく、このライブを聴いて全裸になるほど感動していた男の子・一条シンくんが本作の主人公です。自分を全裸にするほど感動させた「オーバー・ザ・レインボウ」の3人組のような立派な「プリズムスター」になるために、「エーデルローズ」という養成機関に入学することになり、色んな人と出会いながら成長していくというストーリーになっています。…なっているんですが、ストーリーなんて気にしている観客は誰一人いないと思うので、今書いたことは全て忘れても大丈夫です。
  • 冒頭の狂気に満ちたド派手な「プリズムショー」が、私たち観客の喝采&押し殺した笑い声ともに終わると、(観客の精神バランスに配慮したのか)しばらくは常識的な日常パートが続きます。…と言いたいところですが、この日常パートも地味に狂っているので、やはり全く息がつけません。個人的にはですが、明白な頭のおかしさを指摘できる「プリズムショー」パートよりも、じわりと狂気が忍び込んでくるかのような日常パートのほうに震えが走りましたね…。
  • 具体的には、オーバー・ザ・レインボウ(以下OtR)の3人組とシンくんが広場で初めて会話をするシーンなどに、際立った異常さを感じました。まず、3人が自分たちの「過去」をシンくん(と観客)にけっこうな時間をかけて教えてくれるんですが、その説明を聞いてもなんかよくわかんないんですよ。わかったようでわかんないんですよ!!……でもこう、「ここでいちいち考えていたら精神がもたないな」と脳が勝手に判断するのか、よくわかんなくても決してストレスにはならない作りになっていて、そこは普通に本作の美点だと思いました。
  • その会話の最後にシンくんが3人に元気よく返事をするくだりの「間」のおかしさとか、自転車のくだりとか、こうした言語化しにくい地道な狂気の積み重ねによって、(比較的)地味めな日常パートにおいても、本作は観客をキンプリの「魔」に引きずり込もうとするんですよね。次の中盤の「山場」に向けて、じわじわと私たちの脳を蝕んでいくのです。
  • その「山場」とは、OtRの仁科カヅキと、ライバルグループ「シュワルツローズ」に所属する大和アレクサンダーとのプリズムショー・バトルです。「まずバトルとは何なんだよ」という疑問がどうしたって脳裏に浮かびますが、そういう世界なので仕方ないのです。『遊戯王』でカードゲームで全てを解決する的なアレですね。
  • でも少なくともカードゲームは元からバトルですが、プリズムショーはそもそも別にバトルではないわけで、対決するにあたってその辺の事情はどうするんだ…?と疑問に思ったんですが、その答えは冒頭で注目した「必殺技」にありました。各々がプリズムショーの必殺技を打ち合って、相手を倒した方が勝ちなのです。たとえば、カヅキが踊り狂いながら剣や炎やドラゴンなどの必殺技を放つと、大和も踊り狂いながらドラゴンやトルネードや腹筋といった必殺技で応酬する、といった具合です。なるほど、これなら単なるダンス対決と違ってちゃんと決着がつくので、納得ですよね…!(何か大事なことから必死で目を逸らしながら)
  • もうこのバトルの異常さとハイテンションっぷりは劇場で確かめてもらうしかないわけですが、事もあろうに、もうひとつ並行して別のバトルを展開してくれるというサービス過剰っぷり…。そっちのバトルでは主人公のシンくんとOtRのコウジさんが戦います。詳しくは語りませんが、コウジさんからはハチミツが出ます。頭がおかしい。
  • そこからまた日常パートに戻るのですが、例によって全く心の休まる暇がありません。豪快すぎる大赤字だったり、悪役の人の「殺す!!」発言だったり、セロリだったりスープだったり(個人的に最も精神にきた場面)、そうした強烈なシーンが続いて、劇場も爆笑に包まれながら、どんどんおかしなテンションになっていきます。
  • そのまま衝撃的なクライマックスになだれ込んでいくわけですが…。ちょっといったんこの辺でやめておこうと思います。本当はもっとしっかりキンプリの狂気と魅力を言語化してみたかったのですが、「素人があまり深入りするな」と心の中の何かが告げている気がするので…。
  • ひとつ言えるのは、「確実に劇場で観た方がいい映画だ」ということです。たぶん(私のように)けっこうな割合の人が「そもそもどういうアニメなのか全くわからない」「どんな風に楽しむ作品なのかさっぱりだぜ」みたいなノリで観に来てると思うんですよ。でも序盤からクライマックスまで丁寧かつ執拗に仕込まれた狂気に蝕まれていく中で、「あああこういう楽しみ方なのか!」とだんだん体でキンプリの魅力を理解していける仕組みになっているんですね。こんなに気の狂ったエクストリームな映画なのに、「置いてけぼり」な感じにはならず一見さんでもしっかり楽しめるというのは地味に凄いことだと思うのです。
  • 劇場ならではの体験という意味では、終盤、とあるキャラクターがお風呂に入るシーンがあるんですが、その場面で巻き起こった地鳴りのような「爆笑」が特に忘れがたいですね…。冷静に考えてみるといわゆるギャグシーンではなかったような気もしますし、DVDとかで見ると意外とスルーしちゃってた気もするのですが、大スクリーンでアレを見せられるともう客席の全員が笑うしかないっていう、あの一体感が最高でした。まさしく映画館で映画を見る醍醐味です。
  • 「応援上映」というのが凄まじいとは伝え聞いていますが、普通の上映形式でも十分「熱狂(熱に浮かされたような狂気)」が味わえると思いますので、ぜひ飛び込んでみてください。狂気全体の5%くらいしか言語化できてない気もしますが、また色々語りたいです。おわり。