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沼の見える街

ぬまがさのブログです。おもに映画の感想やイラストを描いたりしています。

『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』感想

映画

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  • 映画『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』の感想です。TOHOシネマズ新宿、1900円(IMAX3D)。事前に期待していた通り抜群に面白い映画でしたし、「マーベルもの」の中でも屈指の完成度を誇る逸品であることは間違いないと思います。しかしあまりに語るべき要素が多すぎて、さて、どこから語ったものか…。
  • 『アベンジャーズ』でおなじみのヒーローたちを中心としたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の物語もだんだん佳境に入りはじめ、ついに今回で最終段階(第3フェーズ)に突入しました。本作『シビルウォー』は「キャプテン・アメリカ」シリーズの第3作という位置付けで、少なくとも『アベンジャーズ』2作と『キャプテン・アメリカ  ウィンターソルジャー』は抑えておかないと、話がさっぱり理解できないと思います。一見さんのハードルがどんどん上がってゆくな…。
  • とはいえ、なんかもうここまで話が入り組んでくると、いっそ何も知らずに見てもオッケーなんじゃねーの!?…と逆に言ってしまいたいような、無責任な気持ちも湧いてくるから不思議です。有名なヒーローチームがそれぞれの異なる「正義のあり方」巡ってを2つに分裂してしまい、複雑な気持ちを抱えつつもド派手なバトルを繰り広げる、という、超おおざっぱに言えばそれだけの話ですからね。
  • 「今更過去作を振り返るなんてめんどくせーが、話題になってるっぽいし見ておきたいぜ!」という方は、もう劇場に行っちゃってもいいんじゃないでしょうか。今回はバトルシーンのクオリティの高さが凄まじいので、背後にある事情を何も知らずに見ても一定の満足感があると思いますし…。それで興味が湧いたら過去作をレンタルして観る、というスタンスもアリだと思います(さかのぼるのは骨が折れそうですが…)。
  • 監督は『ウィンターソルジャー』で人物描写やアクションを演出する手腕が絶賛されたルッソ兄弟ですが、今回も素晴らしかったですね。比べるのもなんですが、ほとんど同じキャラが出てくる昨年の『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(以下AoU)』よりも、格段に個々の人物の描き方が情感にあふれたものになっていたように思いました。
  • 今回は周知の通り、キャプテン・アメリカ陣営とアイアンマン陣営の対立を軸にして物語が進行します。ガンガン巻き起こるガチなバトルや息つく暇もないカーチェイスの中に、一人一人のキャラクターのさりげない心情の描写が的確に挿入されていくことになります。
  • たとえば冒頭のハイスピードバトルは主役のキャプテン・アメリカが強くてカッコイイのはもちろんなのですが、ナターシャ(ブラック・ウィドウ)やサム(ファルコン)の人となりや関係性の描写もスムーズに織り込んでいて、うまいな〜と感じました。ドローンに名前をつける云々のところとかも可愛らしい。
  • そう、全体的に今回の『シビル・ウォー』、出てくるキャラがみんな「可愛い」んですよね。実際に登場するのはマッチョで無骨な男性だったり、セクシーでタフな女性だったりするんですが、ちょっとした描写で「可愛い…!」と思わせてくれます。
  • たとえばそれが顕著だったのは『AoU』から登場した2人、圧倒的な力を持つ新ヒーロー・ヴィジョンと、今回鍵を握ることとなるワンダ(スカーレット・ウィッチ)との会話シーンとかですね。どちらのキャラも、正直『AoU』では描写不足というか、何を考えているんだかよくわからないところもあったんですが、今回でグッと魅力的な人物として掘り下げられたと思います。自分の能力で人命を奪ってしまい落ち込むワンダに対して、ヴィジョンが感情をもたないなりに気を利かせて、彼女の故郷の料理を作ってあげるシーンとか最高に可愛かったですね…。だからこそ中盤での対立が悲しくもあり、また燃えるんですが…。
  • また本作の対立の発端となった、トニー・スタークの心情の変化もすごく納得がいくものでした。トニーは『AoU』のソコヴィア戦に巻き込まれて息子を亡くした母親から非難を受け、「自分たちはヒーローとして正しいのか」と思い悩むことになります。悩むといっても決してダラダラと時間をかけるわけではなく、鋭いセリフのチョイス(「ラスベガスのカジノに行った私と違い、彼は貧しい人のためにソコヴィアに行ったのに」)の数々によって、強烈かつスマートにトニーの苦悩を観客へ伝えてくるんですよね。
  • これらはほんの一例ですが、極端な性格や思考回路をもった登場人物たちだらけにもかかわらず、彼ら彼女らがどういう想いを抱えているのかが鮮やかに伝わってきて、つい深く感情移入してしまいます。大胆で華のあるアクションと同時に、こうした繊細な心理描写をおろそかにしない点がルッソ兄弟の凄いところ。それらの丁寧な「キャラ立ち」が積み重なるからこそ、クライマックスの大バトルが否応なく盛り上がるわけです。
  • 個人的にいちばんワクワクしたのは、中盤、徐々に両陣営のメンバーが集まっていくにつれて、どんどんヒーローたちの対立が深刻になっていき、ついには空港での大規模な戦いへとなだれ込んでいく…という流れですね。特にアイアンマンがとある超有名ヒーローの元を訪れる場面は…いや、予告編で出てるし言っちゃってもいいか……スパイダーマンの自宅を訪れる場面は、テンションの上がり方が半端ではありませんでした。
  • この場面で次の新しい『スパイダーマン』シリーズの主役、トム・ホランドが初登場するわけですが、彼の佇まいがとにかく素晴らしい…! 打ち切りになってしまった前シリーズ『アメイジングスパイダーマン』の主役アンドリュー・ガーフィールドくんも、もちろん爽やかでカッコよくて好きでした。しかし新主役のトム・ホランドは、(ガーフィールドにはなかった)ピーター・パーカーの「普段は冴えない」感じを見事に再現していて、よくぞこんな人材を見つけたな!と唸らされました。傍若無人なトニーとのやりとりも可笑しいですし、予想以上にアクション的な見せ場も用意されていて、色々な意味で次の『スパイダーマン ホームカミング』が楽しみになりますね…。そしてメイおばさんの色気はいったい何事なんだ…。
  • それと今回いちばん「おいしい」役回りだったのではないかとさえ言えるのが、みんな大好き「40代バツイチ子持ち前科持ちヒーロー」こと、アントマンです。基本的にはシリアスで重厚なタッチの本作だからこそ、予想外の大仕事に浮き足立っているスコット・ラング(アントマンの中の人)のミーハーっぷりやユーモアに癒されました。中盤の大バトルではおなじみの「小ささ」を生かした戦法で無敵のヒーローたちを翻弄するだけでなく、アッというような「大技」も披露してくれます。こちらも単体の続編が用意されているようなので(ここからどう繋げるのか不明ですが…)、非常に楽しみです。
  • (ヒーローが多すぎてあまり言及できませんでしたが)主役のキャプテン・アメリカも最初から最後まで本当にカッコいいです。なんの特殊能力ももたず、ただ己の肉体と盾を武器にして戦うというストイックな姿勢が、本シリーズの硬派な重厚さを象徴していると思います。「ウィンター・ソルジャー」ことバッキーとのブロマンス的な絡みも多くて萌えます…もとい燃えます。キャップ、どんだけバッキーのことが大好きなんだよって感じです。アイアンマンとの三角関係とか美味しすぎるでしょ…。色々な意味でグッときてしまいますね、ホント。
  • 脱線しつつあるのでそろそろ終わります…。なんかテーマ的なことが全然語れませんでしたが、まぁいろんな考察ブログとかも出ているようなので、そっちを読むといいと思います(ひどい)。
  • ただ、テーマ性に関していうと、後半に行くにつれて若干話が小さくなっていって、そもそもの「ヒーローは管理されるべきか否か」問題はどこ行った…?と少し疑問に感じたことは否めませんでした。「最後のバトルでしっかり暗示されていたじゃん!」という意見も読んだんですが、明白には答えは描かれていなかったですし。まぁ今回はひとつの問題提起というか、続く『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』などで各々の「答え」がぶつかりあっていく…という流れなるのでしょう。そちらもルッソ兄弟が監督をつとめるということで、もはや出来の良さは保証されたようなものですし、引き続き楽しみにしています。ブラックパンサーの話とか全然できなかった…。でもいったんこれにて失礼…。