沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

映画

NTLive『ディア・イングランド』短め感想&レビュー

NTLive『ディア・イングランド』を観てきたが(シネ・リーブル池袋)とても面白かった。短めに感想&レビューを書いておく。 なんかここ数年くらいブログに、変に気合い入れた1万字とかの文章ばかり書いている気がして、書く方も読む方もたいへんなので、も…

「ビニがさ新年会2024」の思い出!

私とビニールタッキーさんの「ビニがさ新年会2024」が無事に終わりました。4年ぶりだし5人くらいしか来なかったらどうしよう!と思っていたら、蓋を開けてみたら大勢の皆さん(総勢52名)にお越しいただき、いっぱい喋って笑って楽しい4時間ちょいとなり…

2023年映画ベスト10&優勝!(+次点の傑作10選、さらに部門賞)

とんでもない幕開けとなってしまった2024年ですが(能登周辺の皆様の無事を祈りつつ、できる範囲で支援していきたいと思います)、それでも新たな年をやっていくぞ!という気合いを込めて、2023年の素晴らしい映画を振り返ろうと思います。2023年はたぶん135…

久々にやります!「帰ってきたビニがさ新年会2024」

新年明けて、1/7(日)に渋谷で「帰ってきたビニがさ新年会2024」を開催します! 私ぬまがさワタリと、おもしろ映画宣伝や映画レビューでもおなじみビニールタッキー(@vinyl_tackey)さんが、楽しくおしゃべりをする映画トークイベントとなっております。司…

窓の向こうに何を見る。『映画 窓ぎわのトットちゃん』感想&レビュー(ネタバレあり)

今年・2023年の日本アニメ映画は、大豊作だったと言っていいだろう。 私が鑑賞したり感想を書いたりした限られた範囲だけでも、斬新なキャラデザが光る『金の国 水の国』、鳥山明の良さが詰まった快作『SAND LAND』、芸能界と社会の歪みを斬る【推しの子 Mot…

食べて、祈って、処刑して。『イコライザー THE FINAL』感想&レビュー(ネタバレあり)

「単純な勧善懲悪ではない」が褒め言葉として使われるようになって久しい。この世で最もありふれたフィクションの形である「勧善懲悪」、すなわち「善人が悪人をやっつける」という物語のあり方を疑う視点は、たしかに大事である。この複雑な世界が、そんな…

歪みを愛せよ。『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』感想&レビュー(ネタバレ控えめ)

ただでさえ今年2023年は、『長ぐつをはいたネコと9つの命』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ニモーナ』など、アニメーション表現の面でもテーマ性の面でも傑出した海外アニメ映画が連発している。だがクラクラしている我々アニメ好き…

寄稿のおしらせ:『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』

【告知】本日9/26発売の『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』(河出書房新社)に私も寄稿しています。各界の映画好きの皆さんが、若い世代にガチでオススメできる「これぞ」という映画を紹介する1冊。私はジョーダン・ピール『NOPE』を…

鳥山明の良いとこ全部のせ。映画『SAND LAND』感想&レビュー

「有名漫画家が描いた1巻完結の面白い漫画」の天下一武道会を開催したら、間違いなく優勝候補の一角を担うであろう漫画…それが『SAND LAND』(2000)である。 SAND LAND (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:鳥山明 集英社 Amazon 【1巻完結漫画の金字塔『SAND L…

アオサギの話しかしない『君たちはどう生きるか』考察&感想&レビュー

アオサギという鳥が好きだ。日本中で見ることのできる、とても身近な野鳥でありながら、大きな体をもち、翼を広げれば全長は1.5メートルにもなる。あまり人や外敵を恐れぬ泰然とした佇まいにも目を奪われる。目元から冠羽へとつながる濃紺の模様や、長い首を…

こういうのでいいんだよLV100。『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』感想&レビュー(ネタバレあり)

「頭空っぽにして楽しめる映画は、頭空っぽでは作れない」という有名なことわざがある。いや実際にはないが、多くのクリエイターが同意する真理だろう。観る側は頭を空っぽにしようが熟考しようが好きに観てOKなのだが、作る側が「頭空っぽ」で雑に適当に作…

ニャー Only Live Once.『長ぐつをはいたネコと9つの命』感想&レビュー(ネタバレあり)

人生は一度きり。YOLO (You Only Live Once)という英語のスラングにもなっているほど、誰もが知っているはずの真実であるにもかかわらず、私たちはそのことをあまり意識しない。それは人間が、死について考えるのが苦手だからなのかもしれない。そんな私たち…

後悔と手をつなげたら。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』感想&レビュー(ネタバレあり)

無限の可能性が広がっているということは、無限の後悔が待っているということだ。 可能性は選択を生む。今日の昼食にピザを食べるか/カレーを食べるか、まっすぐ家に帰るか/スーパーに寄るか、映画館で『アントマン&ワスプ:クアントマニア』と『別れる決心』…

「アフター6ジャンクション」出演たのしかったよレポ&補足

2/21(火)の「アフター6ジャンクション」に「動物が主人公の海外アニメ映画に(ほぼ)ハズレ無し」というテーマで出演しました。ちょっと緊張したけどすごい楽しかった!!聞いてくださった方&実況とかしてくださったリスナーさん、ありがとうございまし…

このキャラデザが"勝ち"2023。『金の国 水の国』感想&レビュー(ネタバレあり)

アニメのキャラクターがどれもだいたい同じに見えてきた…などと言おうものなら、アニメファンに「それはお前の見る目の問題だ」「加齢によって細かい差異が見分けられなくなったのだ」とか怒られることだろう。実際そうかもしれない。 しかしそれでも…ハッキ…

ド迫力な小さい話。『イニシェリン島の精霊』感想&レビュー(ネタバレあり)

あらすじだけで思わず観たくなる映画は沢山ある。女の子が巨大なレッサーパンダになってしまう映画。悪者が人類の数を半分に減らしてしまう映画。黒人が経営する牧場をUFOが襲う映画。2人の最強のインド人が出会い、とてつもない関係を築く映画…。万人に開…

そして列車は"時"を運ぶ。『エンドロールのつづき』感想&レビュー(ネタバレあり)

いまインド映画がアツいことに異議を唱える映画ファンはいないだろう。『バーフバリ』旋風を起こしたS.S.ラージャマウリ監督の最新作『RRR』は日本でも絶賛ヒット中なだけでなく、欧米でも大ヒットして映画業界人の話題を集めているという。私も思う存分こと…

コロナ後の航空パニック最前線。『非常宣言』感想&レビュー

イ・ビョンホンが空中でがんばり、ソン・ガンホが地上でがんばる。『非常宣言』は韓国のスーパー映画スターが天と地でがんばりながら共演する、たいへんゴージャスな航空パニック映画だ。 『非常宣言』鑑賞。韓国の大スター共演で送るバイオテロ航空パニック…

2022年映画ベスト10!(+栄光の次点イレブン)

毎年恒例の「映画ベスト10」発表時期がやってまいりました。今年は劇場で観た映画は116本くらいでした(配信を含んでないのと、重複があったりするので本数が正確なのかよくわからないけど大体…。) これまではイラスト+手描き文章の図解で発表していたんで…

超高画質の異世界プラネットアース。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想

みんな〜ウェイしてる? 私も『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』観てきました。ウェ〜〜〜イ! 『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』鑑賞。ドルビーシネマのハイフレームレート3Dで観たが、異世界ナショナルジオグラフィックって感じの異様な映像質感…

原作『SLAM DUNK』全巻ひさびさ再読&『re:SOURCE』も読んだよメモ

『THE FIRST SLAM DUNK』がとにかく素晴らしかったし、感想記事↓もかなり読んでもらってるようなので…… numagasablog.com ケジメをつけるため(?)原作漫画の『SLAM DUNK』をものすごい久々に再読してきた。思い切って全巻買ったぜ!と言いたいところだが実…

天才の頭の中を覗くような。『THE FIRST SLAM DUNK』感想&レビュー

バスケットボールはあまり好きではない。中学の時、バスケ部の連中がイヤなやつばっかりだったからだ。性格の悪いイジメっ子とチャラいアホがたしなむスポーツ、それがバスケなのだろう…。そんなふうに中学生の私は考え、それ以降バスケを見たり遊んだりする…

2ヶ月でみろ!AppleTV+作品オススメ祭り(2022年11月時点)

あなたがAppleTV+に加入していなかったとして、誰に責められようか。たとえドラマや映画を日常的に見る人であったとしても、NetflixやらAmazonプライムやらDisney+やらhuluやらU-NEXTやら群雄割拠な配信サービスに膨大に流れ込んでくる作品の消化で忙しいこ…

扉は閉じてもセカイは開く。『すずめの戸締まり』感想

率直に言って新海誠監督の作品はニガテであった。作画や音楽など全体としてのクオリティの高さに異論はないし人気も納得なのだが、どうにも合わない。たとえば『君の名は。』はなんであの2人が惹かれ合うのか全然わからないまま異性愛エモ全開で突っ走る感じ…

地球最強の映画がここにRRR。『RRR』感想&レビュー

最強の映画とはなんだろうか。桁外れに強い人間や動物が暴れまわる映画。有無を言わせぬ物語の面白さで引っ張っていく映画。画作りやアクションやダンスが圧倒的に美しい映画。人が互いに抱く激情を正面から描ききる映画。起こる事態がヤバすぎて笑うしかな…

ブレイキング・グッド! 『バッドガイズ』感想

「動物が主人公の海外アニメ映画は95%面白いからさっさと観ろの法則」を知っているだろうか…? 私が勝手に言ってるだけなのでたぶん知らないと思うが、体感それくらいのアタリ率を誇るのが「動物が主人公の海外アニメ映画」であり、今回もその法則を見事に…

恐怖のわくわく動物映画『NOPE/ノープ』感想&レビュー

まさかのわくわく動物ムービー! ジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE/ノープ』、今年ベスト級に好きな映画であると同時に、ここまで動物フィーチャーな作品に仕上がっているとは…と動物クラスタとしては嬉しい驚きがあった。ピールの過去作『ゲット・アウ…

『ウルフウォーカー』特別上映、いろいろ感想

池袋HUMAX『ウルフウォーカー』プレチケ特別上映が昨日無事に終了しました! ご来場の皆さん、ありがとうございましたー。 「ウルフウォーカーの方はこちらです!」という劇場スタッフさんの案内に導かれてシアター2へ向かう(なんかウルフウォーカー本人が…

知ると楽しい!『ウルフウォーカー』トリビア

傑作アニメ映画『ウルフウォーカー』のプレチケ上映会を(私セレクトで)企画したんですが、当日(6/24)が目前に迫ってきました!(ちなみにプレチケとは劇場の1スクリーンを貸し切って好きな映画を見ようぜという映画ファンによる映画ファンのためのイベ…

映画『FLEE』感想:現実を偽らざるをえない人と、現実を「捻じ曲げる」アニメの力

アニメ映画『FLEE』を観てきた。大変良かったし、アニメファンにとっても重要な作品と思われるので長文感想を書いておきます。関連するオススメ作品も後半でいくつか紹介。 映画『FLEE』鑑賞。同性愛を禁じるアフガニスタンから難民として「脱出」したゲイの…