沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

実写版「シンデレラ」みた…

  • ディズニーの実写映画「シンデレラ」をみてきた…。TOHOシネマズ日本橋
  • 正直あまり興味がなかったので、スルーするつもりだった。でもまあ一応、最近良作(「ベイマックス」等)が多いディズニーだし、同時上映の「アナ雪」短編もちょっと気になるし、良い評判も聞かなくはないし、今日は映画の日で1100円だし、と思い、鑑賞してみた。
  • 結論を言えば、「な〜んかな〜…」という感覚がどうしても拭えない作品であった。お話は昔ながらの「シンデレラ」と同じなはずなのに、なぜなのか。せっかくお金を払ったので、少し考えてみる。
  • 「シンデレラ」という古典中の古典に、今あえて光をあてようというディズニー側の狙いはわかる。というのも、王子と王女が結ばれる「王道プリンセスもの」をディズニーはここ最近まったく扱っていなかったからだ。
  • 魔法にかけられて」「アナ雪」「マレフィセント」あたりを筆頭に、ディズニーはここしばらく、凝り固まった自作の「お姫様イメージ」をなんとか崩そうとしてきた。
  • で、そうした方向性がいくらなんでも過剰になりすぎた、と。そして、ここにきてプリンセスストーリーの原点オブ原点である「シンデレラ」を、いっちょ派手に実写化しますか!と。大体そういうことだと思う。
  • しかし…しかし。やっぱりそのまま実写化したところで、「シンデレラ」の話に本来備わっていた「ケッ!」という部分が、かえって増幅されてしまうだけであった、というのが正直な感想…。
  • 「やあ、よいこのみんな!ディズニーだよ。不幸な人生を一発逆転するために必要なものはなんだと思う?それはね…美貌だよ(真顔)」……という話に…なってしまっていた気がするんだよな…。
  • 観客に「よかったッスね、美人で…」という身も蓋もない感想を、いかに抱かせないか。あえて「シンデレラ」をリメイクするのなら、その点が最も大切な要素なのではないかと思うのだが…。とりあえず、その点に関しては、なんの工夫もなかった。
  • もちろんシンデレラ役の子はすごくかわいい。でも、ゴージャスな格好をしていようが薄汚い格好をしていようが全編にわたってずっとびしっとメイクをしてかわいいままだから、なんかもう…「はいはい」としか思えないんだよな。
  • これ、私の年齢の問題というよりは、「シュレック」とかで目が肥えてる今の子供だってけっこう「はいはい」って感じなんじゃないかな〜…。「よござんしたね」って。
  • 最後、王子がシンデレラにガラスの靴をはかせにくるんですけど(世界一不要なあらすじだな…)、超美少女のシンデレラが一応ボロい格好をしながら「ありのままの私をみせる勇気がほしい…」とか言うんだもの。アッハイ…。
  • だらだらと文句だけ連ねるのは良くないので、「こうすればよかったのにな…」ということを書こうと思う。舞踏会にいろんな国の王女が集まるんだけど、途中一人だけ、(美貌的な意味でも)シンデレラの「ライバル」的な立ち位置になり得るような王女が現れる。すぐいなくなっちゃうけど。
  • この人にスポットライトを当てて、シンデレラと対比させればよかったのに…と思う。具体的には、継母がこの王女と手を組むとか。とにかく、「自分と同等かそれ以上の美貌をもつ存在に、シンデレラが内面の素晴らしさによって勝つ」という描写が、必要だったと思う。
  • まあ、それだと元の話と変わっちゃうんだろうけど。でもそれが無理ならせめて、ガラスの靴にフィットする女性を探して国中を回るシーンで、太っている人や年老いた人をあざ笑うギャグなんて、入れるべきではなかったのではないか。たとえ原作にあるんだとしても。
  • 「シンデレラと同じくらい美人だけど、嘘つき」という人々が次々とガラスの靴の前に敗れていく、という流れにしていれば、「美人かつ正直なシンデレラ」とのうまい対比になったのに。容姿をことさら前面に押し出すギャグのせいで、「シンデレラ」の「実はイヤな話なのでは」感が倍増してしまっているような気がする。
  • なんにせよ、「シュレック」や「魔法にかけられて」以降の時代に、ほぼ無策で「シンデレラ」を実写化するなんて、無謀だったんじゃないかな〜…。「プリンセスもの」のこういう「ケッ!感」や「古臭さ」から脱却するために、ディズニーはずっと努力を重ねてきたのではなかったのか。
  • 過去作をリスペクトするのは本当に大切なことだと思う。でもただ実写にして作品の古臭さを露呈させてしまう以外の方法を、一流クリエイター集団ディズニーには、やはり期待してしまうのだが…。
  • 長々と書いてしまった。妙に感情が入ってしまったし、明日読み返して後悔するパターンかもしれない…。まあ、好き放題言ったけど、文句も含めて楽しめたってことで。
  • (追記)さっきチラッとネットを見てみたら、けっこう絶賛ムードだったので、私の見方が偏っているのかもしれない…とややぐらついている。あまり偏見をもたずに見てみるのもいいかもしれません。(もう遅い)