沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

ジェームズ・ブラウンの映画みた!

  • ジェームズ・ブラウン 最高のソウルを持つ男』鑑賞。角川シネマ有楽町、1000円。音楽映画としても伝記映画としても面白かった。これは良作。
  • その名の通り、「ファンクの帝王」ジェームズ・ブラウン(JB)の人生と音楽を描く映画です。ファンクの、というよりは、もうありとあらゆる音楽ジャンルに物凄い影響を与えたといっても過言ではない、今更ほめ称えるのも気がひけるみたいな、20世紀音楽史における最重要ミュージシャンの一人ですね。
  • キャッチコピーにもなってるけど、「マイケル・ジャクソンが最も影響を受けた人物」だという事実が端的にすべてを語ってますな。キングオブポップの心の師匠なんだもの、そりゃ凄い人ですよ。この映画の最初にJBが現代の観客に向けて、「おまえたちが聞いている全ての音楽に、俺が生きている」みたいなことを言い放つんだけど、ちっとも言い過ぎではないっぽいところが恐ろしい。
  • …などと、さも音楽通のように語ってみたけれど…ごめんなさい、ぶっちゃけJB、よく知りませんでした。いや、音楽好きにとっては神にも等しい存在だってことくらいはわかってたんですが。(映画でいうとチャップリンくらい?…さすがにそこまでは?)
  • まあとはいえ、宣伝にわざわざマイケル・ジャクソンを引き合いに出すあたり、やっぱり日本における知名度は、音楽通の人が想定するほどには高くないんじゃないかな、とは思うんですけどね。どうなんだろ。私が無知なだけかな…。
  • とにかく、元からうっすらと気になっていたのに加え、タマフルでJB特集が組まれていたこともあり、触発されて見に行っただけなのですが、いや〜面白かったです。私のようなファンク弱者でもJBの凄さをちゃんと感じられて、カッコいいな!と思わされましたよ。全身でリズムを感じてこそ意味がある映画だと思うので、みるなら映画館で、ぜひ。
  • 物語はミュージシャンの伝記映画としては王道なつくりで、JBの一生を描く中に彼のヒットナンバーが散りばめられていくという構成になってます(サントラ買えばよかった…)。ちょっと独特なのは、少年期、青年期、絶頂期、壮年期をシャッフルしながらお話が展開する点。でも語り口が上手いので混乱はしないし、JBの心情や状況を鍵にして他の時代に飛ぶため、時間を交錯させる必然性はちゃんとあります。
  • 本作を最近の映画でたとえると、『ジャージーボーイズ』×『ソーシャルネットワーク』というイメージですかね。まず、あるミュージシャンの生涯を、歌と伝記的事実をうまく重ね合わせることでスマートかつ硬派に語り、成功と転落の美しい物語を織り上げていくテクニックは、イーストウッド監督の『ジャージーボーイズ』っぽいです。
  • そして、ひとりの物凄い天才が底辺から頂点へ這い上がっていき、文字通り「世界を変える」ほどの大成功を収めるんだけど、すべてを手にいれた彼は果たして幸せになれたのか…?という、苦くも胸を打つ味わいはフィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』を連想しました。どちらかにピンときた方は、ぜひぜひ。
  • またイラストとか描いたときに詳しく。さっそくiTunesで、「JB初心者はまずコレ」だという噂の"In the Jungle Groove"ってアルバムも買っちゃいました。歌詞がほぼないから、勉強とかしながらでも聴きやすそうですね(ファンクの帝王に対してどうなんだその態度は…)。聴こう、これを機に、JB…。