沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

『がっこうぐらし!』第1話みた。

  • アニメ『がっこうぐらし!』第1話みました。これは面白いですね…!オチがたいへん大事なアニメなので、一応ネタバレ注意報を。
  • ただ、私はたまたま原作漫画がどんな感じのお話かを(未読だけど)知っていたんですよ。だから純粋な驚きではなかったんですが、それでもラストの教室の展開はぞくぞくしましたねー。素晴らしい。
  • いや、ベタといえばベタなんですけどね。映画とかでもよくあるし、決して目新しい手法ではありません。(手前味噌ながら)私も一回だけマンガでやったことありますし…。だとしてもやっぱり、ああいった「この人に見えていたものが実は…」という展開には、何か根源的なところで人の心を揺さぶる力があるのだと思います。たぶん創作物から永久になくならないんじゃないでしょうか、この仕掛け。ひそかな王道というか、こっそり殿堂入りしてるというか。
  • そして、手法自体はベタな『がっこうぐらし!』が新しいのは、やっぱり「日常ゆるふわ萌えアニメ」に対する批評(批判?)として、このギミックを使ってるという点ですよね。原作は萌え4コマの殿堂「まんがタイムきらら」系列の作品のようですし、一種の自己批評になっているのが面白いです。
  • ゾンビものにおける「ゾンビ」というのは、基本的には「現実(=外の世界)」の脅威や恐怖、醜悪さといったもののメタファーであることが多いと思います。で、そうした「外」の脅威や醜悪さというものは、「日常ゆるふわ」的な漫画やアニメでは周到に排除されているものですよね。いや、もちろんあらゆるフィクションは「現実」の何かを排除しているのですが、とりわけ「日常ゆるふわ」系は、その排除をごまかそうとさえしていない、かなり開き直ったジャンルとも言えるわけです。そして特に近年、アニメの分野で当ジャンルの勃興がたいへん著しい、という現状があると…。
  • だいぶ前の話なのですが、吾妻ひでお氏が『けいおん!』を「気持ち悪い」とか言って批判しましたよね。私は吾妻氏のことも『けいおん!』のこともよく知らないので何とも言えないのですが、ひょっとするとその批判の根っこには、そうした現代アニメのあまりに堂々とした「現実」の排除に対する、不満のようなものがあったのかな…などと思いを巡らせていました。(どっちもよく知らないなら勝手に思いを巡らすなよ、って感じですけど…。)
  • で、1話を見る限りでは『がっこうぐらし!』、「ゆるふわ萌えアニメ」批評であると同時に、吾妻氏の「気持ち悪い」に代表されるような(今となっては)紋切り型の批判に対する、現代アニメ側からのカウンターパンチでもあるのかも、とか思いました。「そんなに言うなら<ゆるふわ萌え世界>と<現実>とやらの関係を描いてやるよ」っていう。そのために必要になってくるのが、「ゾンビ」というアイテムと、先述した「見えていたものが実は」的なギミックの組み合わせだったのかもしれません。「外」を存在しないものとして排除して、「ゆるふわ世界」を作り上げるしかなくなってしまった私たち…っていうお話を語るために。
  • いやカウンターといえば、なんといっても『響け!ユーフォニアム』こそが京アニからの強烈なカウンターパンチだったわけですが…。ただ『がっこうぐらし!』はアプローチこそ全然違いますが、実は『ユーフォ』の問題意識ともかなり通じる「アニメと現実」の関係性を攻めようとしてる気がして、そこがまた面白いところです。
  • ま〜、まだ1話だし、全然わかんないんですけどね…。原作も読んでないし。どうなるのかな〜。「こうなったらいいな」というのはあるんですが。今回、「めぐ」というピンクの髪の、おそらくはすでに死んでいる(ゆき以外との会話がなかった)キャラが出ましたよね。ゆき以外のメインキャラが一人ずつ「めぐ」みたいな存在になっていく展開だったらいいな、と妄想しています。
  • たとえば、「リーさん」がある回のラストで、ゾンビに襲われて死んでしまう。でも、なぜか次の回にはよみがえって普通に暮らしている。今回でいう「めぐ」みたいに、ゆきの妄想として登場するわけです。そしてみんなと一緒に日常のギャグパートを送る(でも今回の「めぐ」と同じく、生者とは話せない)。そして「太郎丸」が死に、「くるみ」が死に…。でも、ゆき視点では変わらずにみんなそのまま生き続けているので、生き残って正気を保っている「みーくん」だけが孤独を深めていく…。しかしゆきのことを思うと、その気持ちを口に出すことはできない。そしてついに「みーくん」が死に、最後にはゆきを除く全員が死者となり、ゆきの「がっこう」で幸せに「くらす」のだった…。みたいな。どうですかね(何が?)
  • ま〜メインの4人は死なないか、たぶん(油断はできませんが…)。妄想が過ぎたので今日はここまで。「このアニメ来週からどうすんだ」というのは見た人みんなが心配になるところだと思いますが、きっと何とかしてくれることでしょう(雑な期待)。楽しみです。あ、「うしおととら」も良かったです。ではまた。