沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

『進撃の巨人(実写)後編』みた…。

  • 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』観ました。TOHOシネマズ日本橋、1100円。久々に「まったく期待せずに映画を観る」という体験をしましたが、その甲斐あってか、意外にも私は楽しく観ることができました。ただし、オススメはしません。『キングスマン』や『アントマン』といった綺羅星のごとき傑作たちをスルーしてまで本作を選ぶ理由は、無です。
  • おそらく世間では今ごろ酷評の嵐が吹き荒れていると思いますし、「前編はまだ擁護できたけどコレはちょっと…」という意見も山のようにあることでしょう。確かに演出は「ダサイ」の一言だし、話の緊迫感も明らかに前編より弛緩しているし、すべての感情と思考をセリフで説明するし、そのセリフの理屈もよくわかんないし、悪い点をあげようと思えばいくらでもあげられます。いわゆる良い映画では全くない…はずなんですよ。それでも個人的にはな〜んか嫌いになれないんだよな…。う〜ん。なんでですかね…。
  • とはいえ本当にツッコミどころだらけの映画なのは確かなので、思いつく限り羅列してみようと思います。まず冒頭からして、「前回のあらすじ」がひたすら長い。ていうかいらないだろ、後編を見にきてる人はごく最近前編を見た人なんだから!覚えてるよ先月のことくらい…。まったくもう。
  • 最初のシーンでは前回ラストで巨人となったエレンが、人間サイズに戻って軍に拘束されているのだが、その拘束のされ方が異常にカッコ悪い。場所が公園の跡地だからって、何も滑り台にあんな姿勢でくくりつけることないだろ…!なんか増田こうすけの漫画みたいでしたよ。原作の法廷シーンを再現したかったのだろうが、エレンwith滑り台が映るたびになんか笑ってしまった…。あのシルエットの間抜けさは地味に本作の何かを象徴している気がする。
  • あと何と言っても今回最大の珍シーン、「白い部屋」ですね…。ここはすごかった。逆に見る価値があるかもしれない。ジュークボックスから流れる音楽をバックに、前をはだけた白いシャツを着て、エレンに向かってお洒落なセリフを吐きながら、ワイングラスを傾けるシキシマ…。……まじか……。例の「りんご」の場面が可愛らしく思えてくるような破壊力だった。さりげなくシキシマがデッキチェア的なものに寝そべっているカットとか、声をあげて笑ってしまった。かんべんしてほしい。せめて普通に立っていてくれ。しぬ…。
  • その後のエレンvsシキシマの延々と続く殴り合いは、普通につまんなかったですね…。殴りあう際、互いに何かメッセージ的なものをセリフで語っていましたが、「予算が無くてこの場面を長くせざるをえなかったのだな」以外に感想はないです。ここまでは一応(失笑ものとはいえ)ミステリアスな雰囲気を保っていたシキシマも、ここにきて凄まじいまでの底の浅さを披露し、キャラクターとしての魅力を完全にロストします。このキャラを「リヴァイ」と名付けなくて、本当によかったですね…。もはや原作ファンは観ていない気もするので、どうでもいいことかもしれませんが…。
  • その直後にオリジナルキャラのサンナギを待ち受けている運命もな〜…。正直、間が抜けていました。前編では10m級の巨人を一本背負いして物議を醸したサンナギさん、今回もことあるごとに「ハッハッハッハ」とか笑ってみたりして、いかにも記号的な「豪放磊落」キャラを頑張って作っていたのはわかるんですが、いかんせん記号的なので、特に彼がどうなろうと感慨とかはなかったですね…。作り手は「燃える」シーンとして撮っているであろう例の場面も、絵面的には「ばかばかしい」としか言いようがないしな…。せめて巨人が絡んでいれば、あるいは…。残念です。
  • サシャとミカサの心の交流的な場面も、完全に不要でしたよね…? まあ無意味なのはいいとして(よくないけど)、サシャがミカサに何かをあげるシーンがなぜか2回連続で繰り返されるんですよね。まず花をあげてホンワカしたと思ったら、次の場面でジャガイモをあげてホンワカするっていう。……1回にまとめろよ!!地味にすごい変でしたよアレ。だってもし『マッドマックス4』で、武器将軍を倒したマックスがニュークスにブーツをあげて、その次の場面で今度はハンドルをあげてたらおかしいでしょ…。1回にまとめようよ!ハンドルと!ブーツを!まとめろよ!!(混ざってる)
  • サシャもな〜。前編では良い味を出してたと思いますが、後編ではまったく活きてこなかったですね…。ラストで取ってつけたように「ぐ〜…」とお腹が鳴るみたいな、そういうのはキャラ描写とは言わないだろ…。一応活躍のシーンはあるとはいえ、残念でした。好きなキャラなぶん…。
  • そしてラスボス的な存在を演じたあの人の演技は、やはりどう考えてもやりすぎだと思う。全体的にオーバーで不自然だったけど、不自然を通り越して不可解だったのは、アルミンを撃った直後の「わーーーーーーーっ!」という絶叫。「わーーーーーーはっはっはっは」と高笑いにつなげるのかな、と思いきや(それもどうかと思うけど)、ただ「わーーーーーーーっ」と叫んで、次のセリフが続くっていう奇天烈さ。「今の叫び声は何…?」と困惑してしまい、セリフどころじゃありませんでした。だって「叫び」のこんな使い方ってある…?何なの?心が叫びたがってるの?高校生なの?っていう。ちょっともう、わかんない…。
  • ただクライマックスの超大型巨人とのバトルは、さすがというべきか、樋口監督の十八番である特撮の実物感がちゃんと機能し、絵的にはかなりの迫力でした。ただやっぱり映画のシークエンスとしてはな〜…。なんか展開がモタモタしてて、あんまり怖さや絶望感が感じられなかったのは大きなネック。バトルの構図がちょっと似ている「ヨッシーアイランド」のラスボス戦のほうが、よっぽど敵の巨大さや怖さを感じられた気がする…。面白かったな〜、ヨッシーアイランド。またやりたい。
  • 今日は何かもう疲れてしまい、ついにヨッシーアイランドまで引き合いに出してしまったので、この辺で切り上げようと思います。他にもたくさんツッコミどころはありますが、きっといろんな人が指摘してくれるでしょうし、もういいです。エンドロール後とかのアレとかも、もういいです。人それぞれ!(魔法の言葉)
  • …と、散々なことを言っておいてアレですけど、やっぱりどうしても嫌いになれない不思議な魅力もあるんですよね。少なくとも「映画とはこういうもんじゃい」という、作り手の(よく言えば)真っ直ぐな精神性は感じるので、「作らなきゃ良かったのに」とはやっぱり思えません。フォローや町山さんの件も含め、後日また考察を書くかもしれないです。今日はこの辺で。