沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

ワースト5ナイト

  • 昨日発売した「映画秘宝」の3月号を読みました。(映画秘宝 2016年 03 月号 [雑誌] | 本 | Amazon.co.jp)ベスト10&ワースト10発表の号ですね。ベスト1位はもう言うまでもない感じでしたが(表紙がとてもカッコイイ)、ワースト1位が『進撃の巨人』なのは波乱を呼びそうですね…。
  • ちなみに私、ベスト10は全て見ていて、ワースト10も『ギャラクシー街道』と『ファンタスティック・フォー』以外は残らず見ていました(この2本はちょっといくら何でも前情報が悲惨すぎた)。全て、と言ってもベストとワーストに入ってる作品がけっこう被ってるんですけどね。『セッション』なんかはどっちにも入ってます。
  • 私は『セッション』はかなり否定派なので、正直ワーストに入っていたのは少しスカッとしました。「キネマ旬報」とかでも絶賛されてて、実際ベスト10にも入ってたんですけど、こういう全方位からの誉めたたえられっぷりにどうしても納得のいかないものを感じてしまうんですよね。確かに面白いけど、そこまでの作品か…?って今でも思います。
  • もう何度も書いてることですが、ライバルにしてラスボスであるはずのフレッチャー先生が、最後に復讐(というよりただのしょうもない嫌がらせ)のために「音楽」を軽々しく扱ったことには心の底からガッカリしました。あれで一気に作品が安っぽいものになったと思ってます。
  • フレッチャー先生は差別主義者のクズ野郎ですが、それでも「音楽」に関してだけは「正しい」存在であり、音楽への絶対的な「信仰」を抱いている…。そういう二面性こそがフレッチャーに、単なる物語上の機能ではないキャラクターとしての奥行きを与えていたわけで、それがまた彼の怖さでもあったわけでしょう。それがクライマックスでみんな台無しになってしまった。展開としてはマジで悪手中の悪手だと思います。『セッション』を「真の音楽がここにある…!」とか言って絶賛している人々が、どうしてこの点に目をつぶっていられるのかよくわからないんですよね。
  • もちろん「サスペンスとして面白いじゃん!」って意見には私も同意しますが、「この映画には芸術の真実が宿っている…!」とかご大層なことを言って『セッション』を持ち上げた評論家の皆さんには、「それマジで言ってんの?」と聞いてみたいですね。ものすごくハッタリの上手い映画だとは思いますが、プロの批評家が揃いも揃ってひっかかるなよ…って感じですよ。こういう作品の問題点をちゃんと批判することこそ、プロの仕事なんじゃないの?
  • …なんか書いているうちに腹が立ってきてつい言葉がキツくなってしまいましたが、普通に面白い作品だとは思ってますからね…。『セッション』大好き!という気持ちもよくわかりますし、年間ベストに選ぶ人が多いのもうなずける、クオリティの高い映画ですよ。でもやっぱり見た後のモヤモヤ、そして批評勢の過大評価っぷりを考えに入れると、2015年のワーストを1本選ぶなら『セッション』で決まりだなあ…という感じですね。好き嫌いは横においても、批判の余地は本当に多い映画だと思ってます。
  • ちなみにワースト2〜5を選ぶなら、『進撃の巨人』『愛を積むひと』『カリフォルニア・ダウン』『心が叫びたがってるんだ。』ですね(順不同)。他の3作はともかく(失礼)、『ここさけ』なんて本当に質の高いアニメだと思いますし、身近にも好きな人が多いので、ワーストとかいうのは心苦しいのですが…。
  • でもやっぱり見終わった後に死んだ目をしていた自分は否定できないのです…。詳しくは以前書いたので書きませんが、ホント勘弁してくれよ…と思いました。『ここさけ』も確か公開直後はネットとかキネ旬とかで絶賛の嵐だったので、ライムスター宇多丸さんがキッチリ批判してくれた時は溜飲が下がりましたね。
  • あんまり映画をしつこくディスるのもアレなので、この辺でやめときます。『ギャラクシー街道』とか真にヤバそうなのは見てないので、ワーストって言ったって「良いほう」だと思うんですけどね。去年は本当に豊作だったので、そのぶんイマイチだと感じた作品の印象も強かったのでしょう。
  • 本当は映画秘宝のランキングの話をするはずだったのに、いつのまにか私のワーストの話になってしまいました(どうでもいいわ!)。秘宝の話もまた改めて後日。あ、『クリムゾン・ピーク』の漫画がそろそろ完成しそうです…。