沼の見える街

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ジョジョアニメ「イタリア料理を食べに行こう」感想

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  • ジョジョ4部アニメ第10話「イタリア料理を食べに行こう」の感想です。ほんと毎回言っているのでそろそろインフレ気味かもしれませんが、今回の話、今までで一番良かったです!作画も演技も演出も文句の付けどころがありません!おしまい!!
  • おしまいというのも何なので、原作との違いを含めて少し語ろうかと思います。コアなファンが多く根強い人気を誇る第4部ですが、ファン同士で集まって「どの話が好き?」という話題になると必ず上位にあがってくる屈指の人気エピソード、それが今回の「イタリア料理を食べに行こう」(JC33巻)です。
  • 直接的なスタンドバトルはないにもかかわらず、日常の象徴である「食事」をめぐるサスペンス/コメディとして秀逸の一言であり、(短いながらも)第4部の「日常に潜む異常」を体現するかのようなお話なんですよね。「老廃物をガンガン出して健康になれる料理店」という発想自体は筒井康隆の『薬菜飯店』あたりが元ネタなのかもしれませんが、そうしたギミックをジョジョの文法によって見事に漫画として作り変えた、紛れもない傑作エピソードだと思います。今読んでもめちゃくちゃ面白いし、まったく古びていない。(脱線しますがこういう奇妙で面白い系の話を描くフォロワーが今のジャンプに全然いないのが不思議なんですよね。私が知らないだけかな。強いて言えば『賢い犬リリエンタール』とか…?)
  • 「イタリア料理を食べに行こう」は原作では4話分なんですが、20分強のアニメにするには一番ちょうどいい分量だったのかもしれないですね。今回もとてもテンポが良くて、それでいて(OPを削ってまで)めいっぱい原作の要素が詰め込まれていて、本当に完璧な構成になっていました。ジョジョ4部の雰囲気をまったく知らない人にアニメを1話だけお試しで薦めるならコレだろう、とさえ思います。
  • 冒頭のオリジナル演出からして、すごく的確で良かったですね。深夜にひとりレストランで「食材」の「仕込み」をしながら不敵な笑みを浮かべるトニオさんの姿を月が妖しく照らす…(いや文字通りの意味なんですが…)。内蔵や犬といった原作のモチーフをうまく組み合わせて、不気味で不穏なワクワク感を掻き立ててくれます。1話の吉良の食卓もですが、こういう補足的な演出がイチイチ気が利いているんですよね。3部よりもさらに洗練されている。
  • そしてジョジョファンが美味しいものを食べたときに必ず言わなければいけないと法律で義務付けられている超有名セリフ「ゥンまああ〜〜い!」を筆頭にして、今回はとにかく億泰が名言を連発するわけですが、さすがナチュラルボーン億泰こと高木さんだけあって、とんでもない上手さでした。「いかに美味いか」を表現する億泰の語彙の豊富さっぷりも見どころですが、(水のくだりなど)アニメならではの演出も加えられていましたね。「あしたのジョー」とかの固有名詞はどうなるのかと思いましたが、普通に完コピしていて笑いました。(「バーモンドカレー」まできっちり再現!) さすがです。
  • 「『チャンプ』っつー映画見たときはもっと泣けたよォ〜」のセリフでボクシングの素振りをするあたりとかも、芸が細かくて良かったですね。トニオさんの長台詞に対してちょいちょい億泰が相槌を打つところも可愛らしかったです。(ただ激辛パスタのくだりの「味に目醒めたァ〜!」は削らないで欲しかった気もしますが。)とにかく億泰が最初から最後まで愛らしくて、だからこそ次回のレッチリ戦でのシリアスモードが際立つという作りになっているわけですね。
  • 料理も本当に美味しそうで、まさに「あっ こりゃたまらん ヨダレずびっ!」ものでした…。深夜に見るもんじゃないなこりゃ…。子ヒツジはさすがに用意しづらそうですが、ちょっと明日あたりトマトとモッツァレラチーズを買ってきてムシャムシャ食べようかなと思います。トマトパスタにしてチーズを入れるのもいいな…サラダもですが加熱すると超おいしいんですよねモッツァレラは…ウヒヒ…楽しみです…。
  • 脱線はともかく、スパゲッティを「直す」くだりとかもアニメならではのケレン味にあふれていて、「ああ〜アニメってやっぱりいいな〜」と素朴な興奮をおぼえずにはいられません。(私が4部アニメで何よりも楽しみにしているのが「ハイウェイ・スター」戦のバイクを直す場面なんですが、期待度がより高まりました。)
  • そしてクライマックス、ダークなサスペンス調で思いっきり盛り上げてからのまさかのギャグ(ここでは石鹸で手を洗いなさい!)で落とす展開の緩急のつけ方もキレッキレで、なんかもう「作り手はこの話が(というかジョジョが)本当に好きなのだな」と実感できて、見ているだけで幸せになってきますね。億泰の名言を借りればまさに「幸せの繰り返し」です。
  • ジョジョファンとして何より嬉しい(そして悔しい)のは、なんといっても自分より濃いジョジョファンの愛を目の当たりにした瞬間なわけですが、特にここ最近のジョジョアニメは本当にそういう瞬間の繰り返しですね。敗北した(嬉しい敗北ですが)チンケなジョジョファンである私にできるのは、なるべくこまめに感想だのイラストだのを書いて自分の中の盛り上がりを表現することくらいです。そんな感じで次のレッチリ戦も大いに期待しています…。ではまた。あ〜〜〜〜〜〜イタリア料理食べたい…。