沼の見える街

ぬまがさワタリのブログです。すてきな生きもの&映画とかカルチャー。

さまざまマザー!どうぶつ界の「母親」図解

「母性本能」という社会通念がいまだに根強く広まっているように、まるで(ヒトを含む)全動物に共通する性質であるかのごとく語られがちな「母性」ですが、実際にはもっと複雑で多様のようです。適当だったり熱心だったり人間から見ると残酷だったり、動物界の多彩な「母親」事情を図解しました。ゴリラとオランウータンなどなど。

 

<テキスト>

(人間も含め)動物であれば皆共通して持っているかのようにひとくくりに語られがちな「母性」。だが「母」のあり方は本当にそれほど単純なのだろうか。まず、人間と同じ霊長類であるゴリラを見てみよう。ゴリラの母親の子育ては、基本とことん「放任主義」だ。よほど危ないことをしない限り、子供の好きにさせる。群れの仲間や、自然での体験を通して子どもは社会性を身に付けていくのだ。

「放任主義」の母親ゴリラではあるが…自分の子どもが、群れの他の母親の子どもとケンカする等ひとたびトラブルが生じたら…100%自分の子の味方をする!ケンカの相手が
年下の子だったり、もし自分の子どもに非があったりしてもおかまいなしだ。いわゆる「モンスターペアレンツ」的な行動にも見えるが…絶対的な「母親」という味方がいるおかげで子どもたちは安心して、のびのび振る舞えるようだ。

逆に、父ゴリラは一貫して「弱い方、負けている方の味方」をするという。母親の立場が弱かったり、母親がいなかったりする子供の一種のセーフティネットとなる。こうしたバランスの上で、ゴリラの群れの子供たちは平等に仲良く育っていけるのだ。

一方、同じ霊長類のオランウータンの子育ては、ゴリラと正反対だ。母親は長期間にわたって手厚く子供をケアする。オランウータンは孤独な生活を送るので「ワンオペ育児」だ。「少ない子を大事に育てる」繁殖戦略をとる霊長類の中でも、オランウータンは究極の例。子どもの生存率は地球上でトップクラス!メスが初産(15歳)まで生き残る確率は、「94%」という脅威的な高さ。(比較:チンパンジーは50%)これを上回る「動物」は、先進国にすむ人間だけだ。

多種多様な果物のどれを食べるべきかの判断や…枝やツルをつかむ難しく危険な移動など…子どもは長い時間をかけて、親から多くを学んでいく。

同じ霊長類の間でさえ、大きく異なる「母親」のあり方。ほかの動物となると、さらなる混沌を極める…!

ジャイアントパンダ:双子の片方は育児放棄!

ハムスター:子どもを食べる(他の子を育てるエネルギーのため?)

ウサギ:産んだ子どもは巣穴に置き去り。その後は1日2分しか巣穴を訪れない(捕食者から子どもを隠すためでもある。)人間から見れば奇妙に思えたとしても、動物たちは
多様な「子育て」の方法を、進化の中で獲得してきた。

確実に言えるのは、動物みんなに共通する「母親の"正しい"あり方」など存在しないということだ。「母親かくあるべし」と都合よく語られがちな「母性」という概念は人間が作り上げた幻想にすぎないのかもしれない。

 

参考文献にあげた本『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』、出版情報のリンクはこちら。

www.utp.or.jp

図解したゴリラやオランウータンの他にも、イルカとか鳥とか魚とか虫とか色々な動物の驚きの子育て術がたくさん載っていて、自然界の多様さを学ぶために面白い動物本なので読んでみてください。(寄稿してる動物研究者がみんな育児経験者というのもユニーク!)

 

4ページ目のその他の哺乳類の「母」エピソードは、ナショジオが出してる以下の本を参考にしました。残酷なようで合理的でもあるので、なんともいえない気持ちになりますが…。これもまた「母性」の一面とも言える。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

あと直接的な参考文献ではないけど、触発された本は、『母親になって後悔してる』。

こちらの本、かなりヘビーな内容なんだけど凄く色々考えさせられる内容でして。人間の母親にけっこう乱暴に「母性」という概念が押し付けられがちだよなあということを、特に生物クラスタとしては向き合わざるをえないなと。ここで考えたことを図解に反映してみました。

こんな感じで、人文的なテーマの本や映画がきっかけとなって、科学ジャンルの図解を描きたくなることもわりかしあるのでした。文系と理系の探求は表裏一体で切り離せないという一例かも。紹介した本、ぜひ読んでみてください。